【東京文化採集】Vol.13 浅草橋

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古くから玩具や人形などの問屋街として発展した浅草橋。近年ではハンドメイドブームを受けてかビーズやアクセサリーパーツなどの手芸用品を扱う店が増え、ハンドメイド好きの聖地として知られている。ここ1、2年はそのクラフトブームが食や飲料の分野にまで拡大し、知られざるグルメエリアとしても徐々に注目を集めている。路地裏には昔ながらの下町らしさもあり、東京のなかにもこんな場所があるんだと不思議な気持ちにさせてくれる街。

『この街の幸福論。』

日本橋から岩本町、馬喰町を通って、「江戸通り」に出て神田川を渡る。この都心と浅草をつなぐ橋が、地名にもなっている「浅草橋」。
浅草橋の住みやすさは一言でいうと暮らしやすい下町情緒溢れる街です。下町ならではの風情を残しつつ、新しい住人によるものづくりの気配はほかのエリアにはない躍動感と新旧が入り混じる街のあり方には、ある種のカオスを感じます。ものづくり・クラフトという単語にピンと方は、この街に来ると幸せになれるかもしれません。

浅草橋

浅草橋は東京都台東区に存在する地域です。
東京駅から北東へ3.5㎞ほど進んで神田川を超えた先にあり、秋葉原と両国に挟まれるように位置しています。

紛らわしいですが、雷門や浅草寺で有名な“浅草”とは異なるエリアです。
浅草橋からさらに北東へ2〜3㎞進むと浅草駅があります。

昔は浅草や浅草橋を含むエリアが“浅草区”と呼ばれていましたが、東京都制が施行された際に旧下谷区と合わせて“台東区”となりました。地名の由来となっている“浅草橋”は今も存在し、国道6号線として神田川の北と南をつないでいるんです。

江戸時代の昔から栄えている浅草橋には、多くの商店や問屋があります。
とくに日本人形などを扱う人形屋や、アクセサリーパーツを扱う手芸用品店、文具用品店、花火を扱うお店などが多く、ウィンドウショッピングだけでも楽しめる街です。

紹介する場所。

A.日本文具資料館

筆記用具や計算機など、さまざまな時代の文房具が展示・収蔵されています。
ペンや万年筆だけでなく、多種多様な筆や楔形文字の粘土板など、普段はなかなかお目にかかれないものが盛りだくさんです。整然と並ぶ万年筆や、時代を感じさせる計算機、芸術品と見まがうような装飾のなされた硯…これらを眺めていると、身近な文房具それぞれに秘められた歴史の重さを感じられます。

B.和菓子処梅花亭


和菓子処梅花亭は、1850年に創業してから長きにわたり愛され続けている和菓子の名店です。
店内はそれほど広くありませんが、ショーケースに四季折々の和菓子が並ぶ様子はまるで宝石のようです。梅の形をしたかわいらしい「梅もなか」をはじめとする数々の人気商品が毎日作られています。また、どら焼きの「三笠山」は梅花亭が元祖といわれています。青えんどう豆を使ったうぐいすあんが上品な皮に包まれた逸品です。
伝統と格式のあるお店ですので、手土産が必要な時はこちらで用立てれば、相手先に一目置かれること間違いなし。

C. 焼きカレーの店 ストーン

浅草橋で長くお店を構えるストーンは、最近のカフェとは一味違った、昔ながらの喫茶店です。
こちらのお店の名物はメディアでもしばしば取り上げられる「焼きカレー」。チーズのかかった熱々の焼きカレーは老若男女問わず多くの人を虜にしています。有名店ということもあり、週末の昼間はかなり込み合うことが多いですが、並んででも食べる価値あり!といわれる、浅草橋の一押しグルメです。

D.肉の池田屋

肉の池田屋は、戦前から続く下町のお肉屋さん。高品質の牛肉・豚肉・鶏肉を中心として、地元の人に愛される味がそろっています。
こちらでは毎日作られるお惣菜やお弁当がひそかな人気商品。家庭の味を思い出すような素朴なサラダや、コロッケ、メンチカツなどの揚げ物を求めて、遠方からもお客さんが訪れます。こんなお店が家の近くにあったら、毎日通ってしまいそうな、魅力あるお肉屋さんです。

E.銀杏岡八幡神社

銀杏岡八幡神社に祀られているのは、誉田別皇命(ほんだわけのみこと)は武内宿祢命(たけのうちすくねのみこと)。誉田別皇命は応神天皇と同一とみなされていますが、「八幡神」の名前でもよく知られている神様です。
一方、武内宿祢命は『日本書紀』や『古事記』に名前がみられる古代日本の有力者で、とても長生きをした人物として伝えらえています。2柱の神様からは、“仕事運”や“勝負運”の向上や、“健康長寿”などのご利益がいただけるといわれている。
境内には猫がいることが多く、猫好きもこぞって訪れるそうです。

F.葉もれ日

カフェ葉もれ日があるのは、小学校の目の前というまさに“生活のど真ん中”。しかし入り口のガラス扉の先に待っているのは、現代の日常とは一線を画した古い蔵を思わせる情緒ある空間だ。古い素材を使いながらも、スタイリッシュなデザインが目を引く。天井は高く抜かれ、築70年の酒屋をリノベーションして造られたお店は、和のテイストを基調としながらモダンな雰囲気が合わさった空間。コーヒーは世界各地から取り寄せるコーヒー豆をすべて自家焙煎し、ハンドドリップで提供してくれる。ものづくりの街らしく、店主が作る組子欄間のグッズなども販売。

G.Little Japan Guesthouse Hostel & Cafe/Bar

「地域と世界をつなぐ」をコンセプトに、1Fがカフェ/バー、2F〜4Fがホステルのスタイリッシュでアットホームなゲストハウス「リトルジャパン」。様々な場所を行きかう旅行者が集うこのゲストハウスで開かれるイベントは“ゲストハウス”や“地域”をテーマにしたものが多い。立地から多くの海外の方も訪れるリトルジャパンではスタッフには日本人だけでなく海外の方も。スタッフ採用の基準として英語が喋れることがあるそうで、海外からのお客様とも日々コミュニケーションをとっているその風景は、日本に居ながらにして海外旅行気分も味わえます。

H.鳥越神社

1月の「とんど焼き」や夏越しの大祓いで行われる「水上祭」などの行事で有名なのが、鳥越神社です。1000年以上の歴史を持つ鳥越神社は、その周辺が室町時代のころから「鳥越」と呼ばれていたため、このような名前になりました。主祭神としてまつられているのは日本武尊(やまとたける)。これに天児屋根命(あめのこやねのみこと)と、東照宮公(=徳川家康)が合祀されています。
6月に行われる「鳥越まつり」もよく知られています。昼には大きなおみこしが御渡をおこない、夜にはたくさんの提灯がお祭りの幻想的な雰囲気を盛り上げてくれるんです。

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