【東京文化採集】Vol.12 新御徒町

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新御徒町は、歩いて浅草や上野方面にも行けますし、都営大江戸線とつくばエクスプレスの両方が利用でき新宿や六本木などの都心にとても移動しやすい場所です。ただデメリットとまでは言いませんが、この2つの路線は、どちらも地下鉄になっており、結構深い!

『この街の幸福論。』

小さなオフィスビルや商店、町工場や住宅などが混在する東東京らしい町並みに、静かに溶け込むように暮らしている人が多い。徒歩圏内に素敵な銭湯が多数あり、街の日常を感じるのが楽しい街。
『デザビレ』施設周辺には、材料仕入れなどのファッション関連企業が集まっており、“モノづくり”に最適な環境といえます。御徒町〜蔵前の間のモノづくりの町を「カチクラ(徒蔵)」と呼ぶこともあり、地域の方々も街ぐるみでクリエイターを応援し、世に出ていくのを楽しみにしている暖かさもあります。

日本で2番目に古い商店街

御徒町の佐竹商店街は、日本で2番目に古いと言われている商店街です。佐竹商店街は1884年に始まり、関東大震災や太平洋戦争といった苦難を乗り越え、現代では歴史ある商店街の一つとして有名になりました。

佐竹商店街の“佐竹”という地名は、江戸時代の佐竹藩主である佐竹氏から来ていると言われています。かつてこの周辺は芸能や遊技場、温泉地などの共興地。さらには大仏が設置されていたという、現代で言う遊園地のような状態でした。

佐竹商店街の竹盛会(関東大震災以前は共睦会)の設立は明治31年。
佐竹という地名は秋田藩主佐竹氏から来ている。佐竹商店街一帯は、江戸時代には佐竹藩の上屋敷だったのだ。以下、都市史家の小林信也の著書『江戸の民衆世界と近代化』により概説する。屋敷の敷地面積は1万6千坪。それが建物ごと陸軍省のものとなった。陸軍省が何もしないうちに、建物は1869年の火災によってほぼ焼失し、荒廃した土地だけが「佐竹が原」と呼ばれて残っていた。ぼうぼうと雑草が茂り、ヘビや蛙がはびこっていた。

紹介する場所。

A.三筋湯

昔の面影を今に残す銭湯。2代目の富澤孝男さんが、今でも昔ながらの番台スタイルで営業を続けている。浴室に入ると、銭湯絵師の田中みずきさんが描いたペンキ絵が全面に広がる。大きな湯船がひとつ。屋内にあるが岩風呂で浅湯と深湯に分かれている。岩の間から湯が流れ出るので、露天気分に浸れる。驚くのは男湯の浴室から、金魚が泳ぐ大きな池が眺められること。自由に泳ぐ金魚の姿に癒されるのは、同湯ならではの至福。また、男湯・女湯共に脱衣所の前にある池で泳ぐ金魚や鯉を眺められる。レトロだが床・浴室・池などどこを見ても手入れがよく行き届いている。天井も高く気持ちがいい銭湯。

B.蕪木

珈琲とチョコレートの両方を豆から自家焙煎しているというこだわりの喫茶店。絶妙な室内の光量、まっすぐに伸びる一枚板の長いカウンター、それを受け止めるように並ぶ重量感のある少し大ぶりな椅子。店のしつらえ、家具、選ばれた道具やうつわの一つひとつから店主の心配りが伝わってくる。ジャズが静かに流れる店内で、静かな時間を穏やかに過ごせる喫茶店。コーヒーに合わせて選んでもらえるオリジナルのチョコレートはここでしか味わえない。

C. SyuRo

古い工場をリノベーションした店内は、無機質でありながら、どことなく懐かしくもある不思議な空間。こちらはプロダクトデザインを手がけるSyuRoのセレクトショップです。コンセプトは「モノがたりのあるモノづくり」。日本の伝統や職人の技を暮らしの道具に取り入れた、シンプルなデザインのオリジナルアイテム、独自の審美眼でセレクトされたアンティーク、家具が並びます。

D.台東デザイナーズビレッジ(旧小島小学校)

台東デザイナーズビレッジは、ファッションやザッカ、デザイン関連ビジネス分野での起業を目指すデザイナーやクリエイターを支援する施設として2004年4月に旧小島小学校の校舎を活用して設立。
また、経営のノウハウなどは、ビジネスアドバイザーであるインキュベーションマネージャーをはじめとして、同施設内の台東区産業振興事業団などがサポート。セミナー形式で学べるカリキュラムも、独立を目指す人にとっては有難いシステムもあります。

E.鳥越せんべい 加賀屋

鳥越せんべい 加賀屋のお店は、こじんまりとしたお店で、昔ながらの商店街に溶け込むような雰囲気があります。店頭には、袋に入った数枚入りのおせんべいがワゴンに並び、店内にはばら売りのものやギフト用の箱入りのものが陳列されています。おせんべいの味は、どれをとっても美味しい。丁寧に焼き上げた手焼きのおせんべいが、50円でいただける良心的なお店です。

F.中屋洋菓子店

昔ながらの風情が残ることで知られる佐竹商店街のなかほどで、赤い庇がひときわ目につくのが中屋洋菓子店さんです。大正時代初めの創業で100年を超える歴史を持ち、現在のご主人が三代目という老舗。何といってもこのお店の看板メニューはジャムロール。酸味と甘みを抑えたイチゴジャムをカステラ風の生地で巻いた昔ながらのシンプルな逸品で、生地の風味と素朴な甘みが懐かしさを呼び起こします。名物のジャムロールと創業以来変わらぬ味のカステラは一度味わう価値ありの逸品です。

G.天正

白いのれんがかかった「天正(てんまさ)」は、中に入るとモダンな空間です。「大江戸上天丼」は人気が高いメニュー。ほかほかのごはんの上に、サクサクの食感が楽しい様々な具材の天ぷらが乗っており、ボリューム満点。具材は穴子やエビ、小柱のかき揚げに、なすに春菊と盛りだくさん。中でも、穴子は大きなどんぶりからはみ出んばかりの大きさで、豪華な見た目です。甘いたれがとろりとかかっており、そのタレと一緒にご飯をかきこめば、幸せな気分で満たされます。

H.アンダート

お店のコンセプトは「 深い海の底から遠い宇宙に想いを馳せ、その憧れを詰め込んだお店 」。
そのイメージ通り、都会の喧騒を忘れさせてくれる空間が広がっています。壁一面のブルーがとても幻想的で、店内に入ると思わず息をのんでしまうほどです。Andartは、オーナーでジュエリーデザイナーでもある橋本章聖さんと文香さんご夫婦のユニット名で、御徒町にアトリエを作ろうと思ったことがお店をはじめるきっかけ。カフェの名前にもあるように、【 海と宇宙と鉱物 】とは、お互いにジュエリー創作でテーマにしているものだそうです。

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