6月10日(木)、オンライン配信にて“暮らしを育てる『島根の日常』 〜自分の好きなもので、目指す未来をつくっていく珈琲店〜”を開催しました。
◎暮らしを育てる『島根の日常』を届けるシリーズについて
このシリーズが始まった昨年の7月頃は、コロナ渦が非日常でした。
以前の非日常が今、日常になりつつあることで個人の暮らしにおける意識もより深まったように思います。
移動も制限され続け、遠出することも難しい今だからこそ参加者からのこの企画を通して、島根へ行ってみたいという熱が高まっているのを感じます。
今回の参加属性は関東圏からが5割、島根に行ったことがある方も5割、海外からも松江出身のシンガポール在住の方で参加がありました。
参加理由は、圧倒的にコーヒーを好きだからという方が多く、次いで地方暮らし・好きを仕事にしていること、という岸本さんの生き方働き方に興味関心があるものも多かったです。
◎ふるさと島根定住財団原早紀子さんから
ゲスト紹介の前に、島根の紹介をしてくださるふるさと島根定住財団の原早紀子さん。
まだまだ認知度が低いと感じる「島根」を知ってもらいたいという思いから、財団ではどんな活動をしているのかもお話いただきました。
松江市についても、よくみられる風習やそこに住む人の様子など、ゲストの岸本さんとの地元トークでも盛り上がりました。
その内容は、日常にお茶文化がどれだけ近いものとして存在するのかがわかるものでした。
和菓子屋さんの多さだったり、おもてなしする際のお茶受けの量の多さだったりと、原さんご自身が島根出身だからこそ身近に感じさせてもらえたお話でした。
その中で、島根はコーヒー消費量が全国でも上位という情報もあり、岸本さんの珈琲屋さんのお話に流れよくパスが回りました。
◎岸本さんが珈琲屋をはじめたのはノリだった?!
松江の焙煎所から配信をしてくださった岸本さん。
最初に、珈琲屋を始めた時のことをお話してくれました。
東出雲町にあった祖父の空き家がキッカケで珈琲屋を始めます。
小さい頃から、その空き家が素敵で何かそこでできたらと狙ってたと言います。
アパレルの仕事で東京にいたのですが、その空き家が潰されるというニュースが舞い込み、家族を説得しに戻ります。
無事引き継いだ空き家を、コーヒー飲めたらいいなーというノリで珈琲屋を始めたそうです。
それが今から12年前。
3年お店をやったのち、今焙煎所のある場所で新たなスタートを切ることに。
新たな場所は松江市伊勢宮町。この街は地元では誰もが知る飲屋街。
当時、珈琲屋がそこにあるのは不自然な場所でもあったそうです。
この場所との出会いは、最初の珈琲屋にたまたまお客さんとしてきていた大家さんに気に入られたのがキッカケ。
飲み屋が並ぶその長屋を、綺麗にする活性化プロジェクトに取り組んでいた大家さん。
飲み屋以外を入れたかったという希望もあり、声が掛かったのでした。
今や、朝から晩までやってる珈琲屋としてそこに存在するIMAGINE. COFFEEは、昔からは考えられなかった景色を見せてくれています。
お店が入ったことにより、伊勢宮町でのお客さんの流れを変えたというのは、簡単ではないですし本当にすごいことだと思います。
◎引き継ぎを大切にしながら新しいカルチャーを
焙煎所は向月庵という和菓子の人気店跡地に立つ、IMAGINE. COFFEE ROASTERY。
後継者不在で閉じたという、岸本さんも愛してよく行っていたお店だと言います。
この場所でやらないかということでお店の中を改めて見たときに、売り場と工房という分かれ方がちょうどいい配置で、次の店舗のイメージが湧いたそうです。
建物には敬意も込めて、もともとあった向月庵という看板もそのままで存在しています。
工房だった場所には、今は5キロ焙煎機が置いてあり、存在感を出しています。
また、2階では南インド料理店 SUPREME HoTELというカレー屋さんも、ROASTERYと同時オープンをしています。
岸本さんがカレーを好きすぎて、いずれカレー屋さんをやりたいと思っていたのもあり、2階も使って欲しいというオーナーさんの希望に応えた形となりました。
◎やりたいことが形になっていく未来
珈琲屋さんもカレー屋さんもやってみたいことを実現してきている岸本さん。
この先、松江での銭湯事業やビールなどもやってみたいそうで、本当にどんどん形になりそうでこれからも楽しみです。
そんな先の未来の話を聞いていると…実は次やることは決まっているのだと言います。
それは、古着のセレクトショップとのこと。
自分の好きなもの、今までの面白い出会いでつながってきたモノを紹介できる場を今年の秋に始める予定だそうです!
次会うときは何が始まっているのか…一人ではできないこととも思うので、どれだけ岸本さんの周りには人が集まり、共に取り組む仲間として増えているのか。この行動力に、やればできるという単純で難しいことを体現してきている姿に、みんなついていきたいと思うのではないかと感じたのでした。
◎珈琲をみんなで味わう時間
イベントでは今回珈琲セットでご購入いただいていた方達と、一緒に珈琲を飲む時間を作りました。
セットでお送りしていたのは、ドリップバックではなくティーバッグタイプ。
どこでも淹れられるように、簡単に珈琲を味わえるようにと岸本さんが選んでくれました。
参加者さんからは、会社でも美味しい珈琲が簡単に味わえることへの感動や、事前に飲んだという方からの感想にはどんなデザートが合うかや味わいについてのお話もあり、皆さんの珈琲への愛と届いた珈琲が喜んでいただけたということが知れました。
当日飲んだ珈琲は、パッケージ(赤)はインドネシアベースでしっかりとした味わい、パッケージ(青)はエチオピアベースですっきりとした味わいのものでした。
◎岸本さんへの興味が止まらない理由
参加者さんから、リアルタイムで岸本さんへの質問が多く、コメント欄から拾いつつお話を聞きました。
地元の古い社会性や、現在活動している新しい取り組みについてどういう反応があるのかという質問や資金調達に至るまで、様々な質問がされました。
その中でも、”珈琲へのこだわりについて”が一番印象的でしたので紹介します。
岸本さんにとって、珈琲はずっとやっていくこと。
そして、どんどん好きになっていってると言います。
珈琲を飲むまでの物語をより大切にしていくことで、その始まりである上流の 「生産」の段階まで興味が湧いており、現在も生産国から直接取り寄せているものもあります。
そして、いずれは自社農園をできるようになりたいという目標も。
珈琲のストーリー性・地域性を大切につなぎ、飲んでもらう方の手元に届くまでを責任を持っていきたいという岸本さん。
彼ならできると感じる理由は、もちろん今までの積み重ねも大きくありますが、それ以上に発せられる言葉の真っ直ぐさからも次の未来を感じました。
◎あなたとつながる珈琲チケット
珈琲セットをご購入いただいた方へ、岸本さんから島根にあるIMAGINE. COFFEEで使える珈琲チケットもプレゼントとして届けられました。
手書きをしてくれたという、あたたかみのあるチケット。
イベントの最後には、実際島根へ行きたい・ツアーを組んでほしいという声も多数ありました。
オンラインでそれぞれのご自宅からの参加ではありましたが、このイベントでの様々な要素が島根や岸本さんを身近に感じられる時間になりました。
昨年から現地には行けない状況ではありますが、オンラインでの可能性が見えてきたのも事実であり、岸本さんが届けた珈琲チケットのように、この先のつながりをこれからも築いていけたらと思っています。