11月14日(土)、オンライン配信にて“暮らしを育てる『島根の日常』 〜家族とご近所でつくるお茶を、”おすそ分け”でつなぐ〜”を開催しました。
◎『島根の日常』を届けたい
今年春の外出自粛期間を経て、自分の暮らしや家族との暮らし、住んでいる地域など、「本当に必要なものは何か」を考えさせられたり、見つめ直したという人は多かったのではないでしょうか?
そんな方へ向けて、島根に住んでいる人・関わる人との日常をお届けすることで、暮らしを育てるヒントになれたらというシリーズ。第3回目をむかえました。
前回は島根県雲南市在住の山田健太郎さんをお招きし、移住するまでのことや今の島根での暮らし、これからのことをお話してもらいました。ご自身の作るスパイスでできたクラフトコーラを参加者の皆さんと味わいながら、島根とオンラインを繋いで交流をしました。
▼イベントページ詳細
https://hajimari-shimane-cola.peatix.com/view
今回の参加は関東圏からが約6割で、その他は京都・大阪・滋賀など広がりのあるものでした。その中で、島根に行ったことがない方が半分以上でした。
参加理由は、お茶が好き・島根の暮らしに興味がある・地方の暮らしに興味があるという方が半数以上で、島根に行ったことはないけれどイベントをきっかけに知りたいと思ってくださった方も多かったようです。
◎まずは島根を知ってもらうことから
ふるさと島根定住財団の原早紀子さんの島根の紹介からイベントはスタート。
毎回島根の季節を感じる暮らしや、日常の豊かさをお話してくれます。
今回はお茶というテーマに沿って、島根の中でもどんなお茶があるのかも教えてくれました。
お話の中でいつも伝えることは、あえて丁寧に時間をかけて何かを作ることで感じる「豊かさ」について。その時間のかけ方が、この島根の暮らしでの豊かさの1つではないかと原さんは言います。
◎ゲスト七咲友梨さんと島根のつながり
七咲さんの拠点は都内ですが、地元島根と行き来する生活をしています。
お母様との何気ない会話でお茶摘みの季節を感じるくらい、家族にとっては日常に根付いているお茶作り。いつの間にか、自分のことのようになっていたそうです。
農業をしたくて移住してきたご近所さんとの交流の中では、お茶を通して地元の発信できていない価値に気付かされるキッカケをもらったそうです。
このコロナ渦でも、地元に戻れない七咲さんに心配しないでと言ってくれ、お茶摘みを手伝ってくれるあたたかい繋がりを感じたといいます。
そんな七咲さんが手掛けるソットチャッカ(sotto chakka)。
https://www.facebook.com/sottochakka/
島根県西部の山奥の柿木村で、樹齢100年をゆうに超えると言われるお茶の木から手摘みで収穫した新茶を使い、ずっと昔から自宅用につくり飲まれている釜炒り茶と、野草茶。地元の農業をしている人からすれば、野草はただの雑草だったりもします。
それでも大事に丁寧に摘んできては乾している七咲さんたちの姿をみて、農家さんからはたまに野草のおすそ分けが届けられるそうです。都会ではないご近所付き合いがそこにはあり、距離の近さを感じる素敵なエピソードでした。
◎お茶摘みコミュニケーション
七咲さんはお茶摘み作業はちょうどいい距離感で、作業しながらお互いのお話もしやすく、仲が深まりやすいと言います。
まだ上手に鳴けないホトトギスの声や自然の音を聴きながら、目を合わせないで摘むことで取り繕うことなく話せたり、自分のままでいていい感覚が出てくるのだそうです。
摘んで、手で揉んで、乾かして、炒る。
お茶を作る過程の説明をしてくれる写真は、七咲さんのご両親の日常がおさめられており、見ていても心温まるものでした。
お茶の乾いていく様と炒る時の香りがお気に入りだという紹介には、情景が浮かぶようで、その場で感じたくなるような気持ちにさせてもらいました。
◎価値を見える形でお返ししたい
地元の80代にもなる先輩たちからは、七咲さんがお茶を島根の外へ届けていることは伝わっているようで、自分のところの摘みきれないお茶も摘んでほしいという依頼も増えたそうです。
ただ、このお茶が喜ばれる価値のあるものだということまではなかなか伝わらなく、それに対してはちゃんと見える形にしなくてはという思いにもさせたと言います。
地元では日常過ぎて気付けない価値がたくさんあり、販売してお金にするということにはそれを伝えるためにも大きな意味があります。
◎お茶を淹れながら、気持ちも温まる
事前にご予約された方には、七咲さんよりソットチャッカ(sotto chakka)の野草茶が送られました。お湯を沸かし注いで、じっくりと葉っぱを蒸らす。
七咲さんの説明のもと、お茶の色味なども見せてもらいながら味わいました。
お茶に興味がある参加者も多く、野草についての質問も多くありました。
そもそも昔からお薬代わりに飲んでいた理由があり、そこには先人の知恵があるということ、良いものがこのまま消えてしまうことの寂しさを感じつつも、今あるものを大切に、できることとしてこの価値を繋いでいくことを改めて知れた時間でした。
◎お茶で繋がる七咲家とご近所さん、そして参加者の皆さん
ちっちゃい好きを慈しんでいくように、小さいけど消えない明かりを愛でるように、という意味もこめて名付けられたソットチャッカ(sotto chakka)。
参加者の方からは、終了時に一緒にお茶摘みをお手伝いしたいという声も多数ありました。
柿木村に住む七咲さんの家族やご近所さんを思い浮かべながら、お話を聞きつつ、土地や人に対する思いが伝わったのだと感じました。
皆さんの心に優しくそっと着火された思いは、イベントやお茶を通して、この先も島根と関わって行く一歩になれる時間となりました