【2022/10/8島根レポート】暮らしを育てる『島根の日常』\女性限定オフライン開催/ 松江市からやって来たジビエを食べて、”女性の健康と島根の山を守る”がつながる食事会〜

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10月8日(土)、オフラインにて”暮らしを育てる『島根の日常』\女性限定オフライン開催/ 〜松江市からやって来たジビエを食べて、”女性の健康と島根の山を守る”がつながる食事会〜”を開催しました。

◎暮らしを育てる『島根の日常』を届けるシリーズ

3年目にして、初めてのリアル開催。島根の暮らしを「食」を通してお届けしました。

島根在住のゲストから島根での日常をお伝えすることで、あなたの求めている「暮らし」を育てるヒントになれたらなれたら…と2020年からスタートしたこのシリーズ。

今回はこのシリーズの記念すべき第1回(2020年7月)にお招きした森脇香奈江さんが、東京に来てくれました。前回のオンラインイベントでは、松江市での暮らしのお話と共に梅仕事のワークショップを、今回はそこから今に至るまでのお話と猪キーマスパイスカレーを食べながら島根とのつながりを味わっていただきました。

参加属性はリアル開催ということもあり全て関東圏からのご参加でした。初めての参加が半分以上、オンラインでのリピーターの方もいらしていました。参加理由は、ジビエへの興味とゲストへの興味がほとんどでした。

ふるさと島根定住財団原早紀子さんから

定住財団の原さんから、毎度恒例のやさしい島根県入門のお話と定住財団での活動について。松江市は原さんの生まれ育ったところの隣町で、暮らしていると感じられる四季折々の島根の素敵なお写真も見せてくれました。その他、ご家族での地元ならではの季節の行事やご飯なども紹介してくれました。

◎暮らしの現実に、ちゃんと向き合うということ

森脇さんは島根県浜田市出身で、2016年に夫の故郷である松江市の地域おこし協力隊1期生として着任したことをきっかけに一家4人で広島から島根へ移住しています。協力隊でのフリーミッション(松江の地域資源を掘り起こし、ビジネスを創出)という課題に仲間と取り組みながら、2018年12月に合同会社弐百円を設立します。今していることとして、鳥獣被害対策事業とジビエ利活用事業の紹介をしてくれました。

最初は地域の催物で、わけてもらったイノシシの肉で加工をお願いしてソーセージにして販売。イベントごとでは売れるそうなのですが、地元のスーパーに置いてもらえるかの交渉をしても、イノシシに対しての地元の人からの価値や割高な肉をわざわざ買う人がいないという現実とぶつかります。会社の設立時から掲げてきた図のような回したいサイクルがあった森脇さんとメンバーの佐藤さんは、まだ1つのサイクルしか自分たちはできていないと基本に立ち返ります。そして、イノシシが食べられるようになるまでを知る必要があると解体現場へ足を運びました。

現場に出向き知っていくことで、命をいただくということ、なぜ精肉の値段が少し高いのか、イノシシを獲っている先輩方の想いや高齢化、農家さんが困っている農作物被害等の課題もみえてきました。

◎一頭でも命を無駄にしたくない

森脇さんは活動の中で狩猟免許も取得しています。地元のお父さんたちについて勉強させてもらいながら現場を経験していき、今や最前線で活躍中。

1つ1つの経験を経て、「一頭でも命を無駄にしたくない」という思いから、鳥獣被害対策研修会やジビエイベント・ジビエ料理教室などの企画運営も行っています。もっと地元の方に知ってもらい興味を持ってもらう機会を作っています。今年5月には地産のジビエを扱う飲食店もスタートしました。

農作物を守るためにイノシシを獲り、自ら解体し加工して販売。農作物を作るということはしていないですが、守るというところで協力しあい、創業時に理想にしていたサイクルを自分たちで回していけるようにまで会社としての成長もありました。サイクルを埋めていこうとしたわけではなく、イノシシのことや地元のことをちゃんと知ろうと関わろうとした動きの中での結果だったと森脇さんは言います。

初めてイノシシの生死を目の当たりにした時に、かつては皆に食されたイノシシが、 今では田畑を荒らすとして駆除され、 そのうちの9割が処分という衝撃的な現実を知ります。食肉として処理する人が少なく、 猪肉のイメージが良くないという課題がありながらも、森脇さんは自ら有害鳥獣として捕獲されたイノシシを譲り受け、今まで3年間で200頭近くのイノシシを解体処理してきたそうです。

◎社内個人プロジェクトとして貧血に悩む女性に向けた新ブランド

過去してきた仕事で管理栄養士の資格も持っている森脇さんは、イノシシの優れた栄養価と調理のしやすさ、 何よりその美味しさに新たな可能性を感じ始めたと言います。特に処分されてしまう夏場のイノシシの成分分析を始めたところ、その栄養価の高さには栄養士・管理栄養士の仲間達が驚くほどだったそうです。そこで「この価値ある命を、喜んでくれる人と出逢わせたい」 という想いが原点となり、社内個人プロジェクトとして貧血に悩む女性に向けた新ブランドであるFeMEETS (フェミーツ) -山と鉄とあなたと-を立ち上げることになりました。

◎猪キーマスパイスカレーをみんなで食べよう!

参加者さんお待ちかねの、猪キーマスパイスカレー。ジビエのイメージを事前のアンケートでお伺いしていたこともあり、クセが強そう・匂いが気になる・獣っぽいなどなど、初めてイノシシを食べる方も多く実食はソワソワしながら楽しく始まりました。前回のオンラインイベントでもワークショップをした梅仕事でも作った梅シロップを、森脇さんが作ってきてくれたのでソーダ割りをして一緒にいただきました。想像以上に美味しいカレーに、イノシシ肉に興味が湧いてきているようでした。テーブルを1つずつ回りながら、熱心にお話する森脇さんにみんな質問攻めでとても盛り上がっていました。

島根県と首都圏をつなぐ企画として、今回はテーマがジビエで女性限定という試みで、いつも以上に会話が弾んだように感じます。参加された方々が森脇さんの活動を応援しながら継続的にファンになるようなコミュニケーションができていました。今後もゲスト・参加者の少しでも背中を押せるような、これからも誰かの島根の日常を届け続けることで、他の誰かの暮らしのヒントや一歩踏み出すキッカケになっていきたいと思います。

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