【東京文化採集】Vol.6 両国

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秋葉原から総武線で2駅。隅田川をのぞむ両国は、江戸時代から現代に至るまで賑わいが絶えたことはありません。相撲でおなじみの国技館、年間を通して多くの人を集める江戸東京博物館など、日本文化を伝えるランドマークもそこかしこにありますよ。

『この街の幸福論。』

相撲と歴史と静けさと。
JR総武線を降りると北口にすぐ見えるのが両国国技館。1月、5月、9月の大相撲の場所中は大変にぎわいます。その他有名アーティストのコンサートや格闘技などもよく行われていますが、イベントの時以外は静かな両国。相撲の街だけあり、「ちゃんこ屋」さんが多いのも特徴で、有名な力士が引退してやっているお店も多く、お店によって味も具も様々です。
他にも「忠臣蔵」の舞台になった場所があり、両国の吉良上野介の邸宅に討ち入りした話は有名です。その吉良邸が、現在は本所松坂町公園として残っています。
歴史と文化にあふれた両国の街。江戸情緒にあふれた気配と、下町の静けさが残る街は東京のローカルを感じる場所のひとつかもしれません。

墨田区・両国といえばお相撲さんの街。

両国といえばお相撲さんの街。実際に、浴衣姿のお相撲さんがふらりと自転車に乗っていたりお買い物をしているところに出くわすことも少なくありません。そんな両国は、お相撲以外にも下町文化の発展に古くから貢献してきました。江戸時代は浅草と競うほどにぎわった歓楽街で、茶店や芝居小屋などが多く立ち並んでいたそう。江戸の歴史を感じられるスポットや伝統グルメの名店など東京の下町ローカル感を堪能できる街。

紹介する場所

A.旧安田庭園

江戸時代、大名庭園として築造された旧安田庭園。かつては隅田川の水を引き干満の変化を鑑賞できる庭園でしたが、現在は人工的に再現されています。池の周りをぐるっと回っても10分程度の小さな庭園ですが、気分転換、お散歩にはぴったり。また、季節ごとに咲く花や葉の色の変化で四季を感じられる庭園でもあります。

B.江戸東京博物館

江戸東京博物館には2つの展示があります。1つ目は、「江戸」と「東京」の歴史と文化を紹介している常設展で、いつでも見ることができます。原寸大の再現模型、縮尺模型や体験展示等を用いての紹介は、実物資料だけよりも、江戸や東京を身近に感じることができ、理解が深まります。特に、細かく作りこまれた縮尺模型は、時を忘れて見入ってしまうほどです。

また、常設展では、常設展観覧料で見学ができる企画展が年に4-5回開催、開催されています。
企画のテーマを中心に、江戸や東京の文化などの知識を深めることができる興味深い展覧です。日本各地から発掘された埋蔵文化財に触れる機会もあります。
もう一つは、1階展示室で、年に数回、開催される「特別展」です。江戸や東京に関する様々なトピックスを深堀した興味深い展示をはじめ、NHK大河ドラマの特別展、海外との国交を記念した展覧会など内容は様々です。

C. 両国湯屋 江戸遊

東京墨田区で20年営業を続ける温浴施設「両国湯屋 江戸遊」は、両国北斎通りのランドマークとして愛されてきました。大浴場の壁には地元ゆかりの北斎の浮世絵、そして館内のあちこちに江戸の伝統工芸江戸切子や指物師の技が光る。粋で洗練された江戸文化を楽しみながらリラックスできる空間。
2019年のリニューアルでコワーキングスペースも併設されました。
誰もが安心して利用できる施設を目指す都会のオアシス。

D. すみだ北斎美術館

世界的に名高い浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)は、本所割下水(現在の北斎通り)付近で生まれ、およそ90年の生涯のほとんどをすみだで過ごしました。
すみだ北斎美術館は、2016年11月、葛飾北斎の専門美術館として北斎ゆかりの地・すみだに開館。妹島和世による建築は、浮世絵作品の保存を考慮しながらも、訪れる人が気軽に立ち寄れる、公園や地域と一体になったデザインです。

高名な北斎の研究者から譲り受けた質の高いコレクションや、北斎とその門人を中心に墨田区が収集した優品、約1800点を所蔵し、年5~6回の企画展で順次公開しています。
常設展では、最新技術を使用して推定復元した幻の巨大絵馬「須佐之男命厄神退治之図」に加え、タッチパネルや高精細4Kモニターなどを使用し、北斎の生涯とすみだとのかかわりをわかりやすく紹介。新しい美術館の形として、様々な角度から北斎の魅力をお伝えしています。

E.とんかつ はせ川

まずは、とんかつのお肉。「平牧バーク三元豚」の豚肉のみを使用しています。
このお肉は、きめ細かく上質な脂肪なので、脂っこさがなく、さっぱりとした味わいが特長です。そして、とんかつの旨味を最大限に引き出すためのサクサクの衣は、なんとパン粉やさんと一緒に試行錯誤の末生み出したオリジナルのパン粉だそうです。さらに、ソースもお店のオリジナルブレンドで手作り。とことんこだわりぬいた味わいが楽しめます。

その甲斐もあり「とんかつ はせ川」は、なんと、2018年から4年連続で「ミシュランガイド東京」のビブグルマンに選ばれており、食べログのとんかつ百名店にも選ばれています。

F.麦酒倶楽部ポパイ

常時70種以上のクラフトビールが飲める『麦酒倶楽部 ポパイ』は、“クラフトビールの聖地”とも称される人気のビアホールレストラン。お気に入りの一杯との出会いに心膨らませるのもいいですが、さまざまなエールと料理が互いの魅力を引き立てるマリアージュが楽しいお店。

まず目に飛び込むのは、カウンター奥に並ぶ圧巻のタップ!
正確には100あり、常時70~80が稼働しているそうです。2代目マスターの城戸さんによると、あえて、タップに余裕をもたせているということ。いつでもベストな状態でおいしい一杯を楽しむことができるのも、ビールLOVERのハートをつかんで離さない理由がポパイの魅力。
コアなクラフトビールファンの信頼も厚いのも頷けるお店です。

G. ももんじや

ももんじゃとは、「百獣」を表す言葉。ここ、ももんじゃは都内と言わず全国屈指のジビエ料理の老舗中の老舗。お店の店頭には大きな猪のモニュメントが掲げられています。
猪鍋で有名なももんじゃですが、意外と知られていないのが元々は漢方薬局だったということ。

江戸時代は獣肉が漢方薬の材料として取引されていました。そんな中で猪肉が美味いという噂が流れ、それを機に料理屋に転身したことが始まりだそうです。現在では山間部の地方等では一般的に食べられていますが、都心部でここまで本格的で上質な猪肉が食べられるのはここだけ。
ももんじゃの目玉料理である猪鍋はとにかく長時間お肉がほろほろになるまで煮込む、いわゆる大和煮のスタイル。

獣肉の臭みを消す手法として知られている料理法で、江戸時代当時からこの手法は変わっていないそうです。大和煮は元々発祥は明治時代とされていますが、それ以前から巷では知られていたそうです。
猪肉を召し上がったことのある方の中には、「クセがあって苦手」という方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、そのイメージを簡単に覆されるほどクセがなく美味しいのです!牛肉とも違う、適度にゼラチン質が乗った猪肉。一発で心を掴まれます。

H.喫茶ランドリー 本店

「喫茶ランドリー」は、2018年1月に始まった“まちの家事室”付きの喫茶店です。オープン以来、0歳から高齢者の方まで、主婦からサラリーマンまで、地域のさまざまなひとびとに利用されています。
特徴的なのは、お店の奥に洗濯機や乾燥機、ミシンやアイロンなどが備えられている“まちの家事室”をはじめ、店内には4つの特徴的な空間がつくられてることです。ベビーカーも犬も車椅子も入店OK。「どんなひとにも、自由なくつろぎ」というコピーの通り、お客さまには、自由に過ごしていただいています。空間からサービスまでのすべてを効率化ではなく、人とコミュニケーションが生じることを第一に設計デザインし、大小さまざまな活動に利用され、その合間に、自然と知らない人同士の会話が生まれ、小さなコミュニティが日々育まれています。

誰もが訪れて居心地よく過ごせる場所「喫茶ランドリー」は、これから場づくり・まちづくりの指標になりそうな場所です。

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