【東京文化採集】Vol.5 清澄白河

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清澄白河といえば、あのブルーボトルコーヒーの日本1号店が出店した街として、2015年に大きな話題を集めました。
あれから6年。清澄白河は一過性のブームで終わることなく、おしゃれで居心地の良いカフェや、かわいい雑貨屋さん、お酒の美味しい飲食店が点在するなど、今でも土日は多くの観光客が訪れる人気の街です。

『この街の幸福論。』

清澄白河という街を初めて知った時、きれいな名前の街なのだろうと思ったことを思い出します。
その名の通り、清く澄み切った空気が街全体を包んでいてくれて、いつも晴れ晴れとした気持ちで過ごすことができる街。

この街で暮らす喜び。それはちょっとだけ早起きをして、お寺や川の近くを散歩すること。都内にも川はたくさん流れていますが、有名な隅田川をはじめ、東西にもたくさんの運河が流れている街

清澄白河には、たくさんのカフェや雑貨屋さんが点在しています。もちろんブルーボトルコーヒーもそのひとつ。日曜日も営業しているので、観光客の来るよりも少し早めの時間にお邪魔してもいいんです。焙煎したてのコーヒーの香ばしいにおいが店内に広がっていている。なんだかのんびり過ごしたくなる空気感がこの街にはあります。

物流の街の気配。そして時代は流れ、小さなはじまりの気配に。

江戸時代から川沿いの物流の街として栄えた清澄白河の街。近代に入ってからは倉庫に加え、町工場も多く作られました。物流機能が少なくなった現在は、工場や倉庫がリノベーションされ、おしゃれなカフェやアートギャラリー、ショップなどに生まれ変わっています。
大きなショッピングモールはないけれど、こだわり抜かれた個人経営のお店が並ぶ清澄白河は、多くの人が食事や街歩きをしに訪れる人気の街。街には昔ながらの商店が残る下町の雰囲気もありますが、駅の周辺はここ10年の間で再開発が進み、高層マンションが建てられ、家族世帯が移り住んできています。​

紹介する場所

A.東京都現代美術館

東京都現代美術館は、現代美術の振興を図り芸術文化の基盤を充実させることを目的として1995年3月に開館。約5000点の収蔵作品を生かして、現代美術の流れを展望できる常設展示や大規模な国際展をはじめとする特色ある企画展示など、絵画、彫刻、ファッション、建築、デザインなど現代美術を幅広く紹介している。
また、美術関係図書約10万冊を揃えた美術図書室を備え、美術に関する情報提供や教育普及を目的としたワークショップ、各種講座や講演会などを通して、美術を広める活動を行っている。
この街に美術館があって良かったと思えるような雄大さがあります。

B.HOZON

佐渡の素材を使ったオリジナルブランド「佐渡保存」の瓶詰やシロップをはじめ、世界中・日本中から集められた保存食品がいっぱい。お店には工房も併設されており、製造工程をのぞくことができたり、作りたての瓶詰を購入することもできます。さらに、店頭にある保存食品を使ったHOZONサンドや、自家製ドリンクのテイクアウトも可能。商品を購入するだけでなく、その場で食べたり飲んだり見学もできる、体験型のショップになっている。
贅沢かつ個性的な瓶詰をはじめ、日本や世界から集めたセレクトアイテムも豊富なお店。

C. O2

モダン下町とでもいえるこのエリアにあり、中国料理と自然派ワインという珍しい組み合わせのレストランが「O2」(オーツー)です。店名は、清澄白河の隣、門前仲町生まれのオーナーシェフの大津光太郎さんの名前を暗号化したものです。日本の素材を活かしながら、ひと品ひと品を丁寧に作り上げる料理を目当てに、都内中心部から足をのばす食通が絶えないお店。

店内はカウンター席を含む14席。床面積は10坪ながら、ビルの1階と2階を抜いて天井を高くしているので居心地のよい開放感があります。
O2は、5つの料理からなるおまかせコース(5000円〜)が中心。
メニューには、軽くマリネしたブリとハッサク、ハーブなどのサラダや、春菊のシュウマイ、大浦ごぼうと中国ハムのスープなど、季節の素材がしっかりと中国料理の中に活かされています。
ちょっと変わった中国料理を楽しみに行って欲しい場所の一つです。

D. 清澄白河フジマル醸造所

住宅街にひっそりと佇むワイナリー。1Fが醸造所、2Fがレストランとテイスティングルームとなっている「清澄白河フジマル醸造所」は、閑静な住宅街の中にあり、気を付けていないと見過ごしてしまいそうなほど、ひっそりとした佇まい。
取り扱うワインは常時200〜300種類で、グラスワインは白、赤、ロゼ、泡、合わせて10種類(600~1400円)以上。国産ものも多数あります。ワインというと長期間寝かせるというイメージがありますが、こちらの自社醸造ワインは長期熟成させずに新鮮な状態で飲む、早飲みタイプです。
1階のワイナリーは、レストラン・テイスティングルームを利用した上で、見学を希望すれば案内してもらえます。醸造したワインは、ボトリングやラベル貼りに至るまで、全て1本1本心を込めて、手作業で行っています。都内でも貴重な自社ワイナリーを持ち、生樽ワインや料理が飲めるフジマル醸造所に遊びに行ってみませんか?

E. リカシツ

清澄白河にある「リカシツ」は、理化学ガラスの老舗卸問屋「関谷理化」のアンテナショップです。理科室で見たことのある、実験用アイテムがインテリアとして販売され、店内には試験管やビーカーなどがところ狭しと並んでいます。扱っているアイテムは基本的に、学校や病院で実際に使われている理化学製品。

耐熱性に強かったり、匂いが残りづらいので調味料やオリーブオイル、アロマオイルなどの保存などにもぴったり。もちろん電子レンジで温めても大丈夫です。“理系インテリア”として、斬新な使い方の提案がされています。
オリジナル商品以外にも、このほかアルコールランプ、温度計、スポイト、ピンセット、リトマス試験紙など、懐かしいアイテムがたくさん。懐かさを感じる、おしゃれなリカシツをのぞいてみませんか?

F.リトル・トーキョー

リトルトーキョーは、いろいろな生き方・働き方に出会うことのできる場所です。株式会社シゴトヒトが運営。2013年に虎ノ門でオープン、2016年4月からは清澄白河に引っ越してきました。
清澄白河駅から徒歩3分、目の前に銭湯、隣に中華料理屋さん、屋上からは清澄庭園が望める場所。

1階では、今日食べたいものをつくる「ごはんや今日」が定食を提供しています。
夜は全国各地からご近所さんまで、さまざまな人がカウンターで飲んだり、ゆっくり過ごしています。2階・3階では、いろいろな生き方のゲストをお呼びし、一緒に会話する「しごとバー」というイベントなどを開催。イベント中毒ナイトでは大変お世話になりました。

G. 清澄庭園

清澄庭園は、江戸時代に大名の下屋敷だった一帯を三菱の創始者・岩崎彌太郎が取得し造園を計画、1891(明治24)年に社員の慰安や貴賓を招待するための「深川親睦園」として開園しました。1923(大正12)年の関東大震災、1945(昭和20)年の東京大空襲では避難場所となるなど地域の歴史に深く関わり、現在も緑豊かな下町のオアシスとして親しまれています。
明治時代の庭園を代表する「回遊式林泉庭園」。東京都の名勝に指定されています。

日本全国の名石が配された「清澄庭園」は、「名石の庭」とも呼ばれています。なかでも一番貴重とされているのが「佐渡赤玉石」。その価値は家が1、2軒建つほどだといわれていました。また、池に突き出るようにして建つ「涼亭」は、1909(明治42)年、国賓として来日したイギリス陸軍元帥をもてなすため、岩崎家3代目当主・久彌によって建てられたもの。関東大震災でも東京大空襲でも焼失することなく、その後全面改築工事などを経て、当時の面影を今に伝えています。

*回遊式庭園は、日本庭園の形式のひとつで、園内を回遊して鑑賞する庭園。園内を回遊する形式の庭園は日本以外にも存在するが、回遊式庭園という語は主に日本庭園のみを指して用いられる。

H.LYURO 東京清澄 by THE SHARE HOTELS

まちに開かれたシェアスペースやギャラリー、ショップ、コーヒースタンド、ビールブルワリーなどを備えた“シェア型複合ホテル”LYURO 東京清澄 -THE SHARE HOTELS-は2017年4月にOPEN隅田川に面し、客室からは下町風情あふれるリバービューが見渡せます。このホテルがユニークなのは、宿泊客だけではなく、まちの人や清澄を訪れた人たちも利用できること。
​​2階デッキに「かわてらす」があり、朝ごはんを食べたりヨガをしたりと、いろんな使い方ができます。かわてらすへとつながる2階には、バーベキューレストラン〈PITMANS〉とクラフトビールのブルワリー清洲橋醸造場もあります。
街の人が入りやすく、居心地よく過ごせるのもLYUROが清澄白河にある由縁かもしれませんね。

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